「農協に頼らない」“億超え”農家が語るコメ不足の本音「流通のペーパーマージンがコメ価格を押し上げている」「儲からないから後継者がいない」コメ政策の課題とは

農協に依存しない新しい農業の形が、東京から250km離れた山形県南陽市で注目を集めている。黒沢ファームの黒沢さんは、460年以上続く家業の21代目として、自らの農産物を直接消費者に販売することで成功を収めている。彼は、米の価格が高騰し、供給が不足している現状を背景に、農協を介さない販売方法の利点を訴えている。

黒沢さんは、農協に出荷することで、質の高いお米であっても、同じ倉庫に集められ、価格が一律に設定されることに不満を持っていた。彼は、自ら販売を開始し、品質に見合った価格で消費者に届けることを目指した。現在、彼の米は1kg800円から1000円で売られ、17週連続で値上がりしているスーパーの平均価格と大差ない水準に達している。

黒沢さんは、米の流通過程で生じる「ペーパーマージン」が価格高騰の一因であると指摘し、流通業者が利益を上げる一方で、農家は苦境に立たされている現実を訴えた。さらに、政府の原産地政策が依然として影響を及ぼし、生産調整が続いていることも問題視している。

一方で、黒沢さんの息子である琢磨さんは、農業を継ぐ決断を下している。「儲からないから後継者が育たなかった」と語る黒沢さんは、農業政策の改革が求められていると強調し、未来の農業に対する希望を持つことが重要だと述べた。

米の供給不足と価格高騰の影響は、農業だけでなく、国の政策に対する新たな議論を呼び起こしている。黒沢さんの活動は、現代の農業が直面する課題を浮き彫りにし、持続可能な農業の未来を考えるきっかけとなるだろう。

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