北極星ポラリスに異変が起きている
夜空の広大な宇宙の中で、長い間探検家や航海者、夢見る人々の心を捉えてきた天体がある。それが北極星、ポラリスである。しかし最近、ポラリスに何か奇妙なことが起きているという報告が相次いでいる。天文学者たちは、ポラリスの明るさや距離を正確に測定するのが難しくなっていると指摘している。
ポラリスは、地球の北極に近い位置にあり、地球の自転軸にほぼ一致しているため、夜空でほとんど動かないように見える。しかし、地球は完全なこまのように回転するわけではなく、ゆっくりとした揺れを伴う「軸前進」という現象が起こっている。このため、ポラリスの位置も長い時間をかけて変わっていく。約13,000年後には、別の星であるベガが北極星の役割を引き継ぐことになる。
最近の研究では、ポラリスの脈動周期に変化が見られるようになった。過去150年以上にわたり、脈動周期は年々4~5秒長くなっていたが、2010年以降、その傾向が逆転している。これが何を意味するのか、天文学者たちは頭を悩ませている。ポラリスの伴星であるポラリスBの影響や、ポラリスがかつて2つの星から成っていた可能性も考えられている。
さらに、2022年にはカナダのクイーンズ大学の研究者たちがポラリスに驚くべき磁場が存在することを発見した。この磁場は、星の進化や変化に影響を与える可能性があり、ポラリスの神秘を解明する手がかりとなるかもしれない。
ポラリスに関する研究は進行中であり、新たな発見が期待されている。宇宙についての理解が深まる一方で、私たちが知っていることがいかに少ないかを再認識させられる。今後の研究成果に注目が集まる中、ポラリスの変化に関する新たな情報が待たれる。