フジの「ドン」語らず退場…12年連続視聴率トップの立役者、一方で社内有望株を次々排除のワンマン

40年以上にわたり、フジテレビを引っ張ってきた日枝久・取締役相談役(87)が同社を去る。けがで入院中のフジテレビの“ドン”は、取締役会を欠席し、退任の理由を語ることもなく、表舞台から静かに姿を消した。

日枝久・取締役相談役(87)が同社を去る。けがで入院中のフジテレビの“ドン”は、取締役会を欠席し、退任の理由を語ることもなく、表舞台から静かに姿を消した。

【図表】フジテレビ問題、これまでの経緯

「楽しくなければテレビじゃない」。1980年代初めに、そんなキャッチフレーズを掲げた同社は、バラエティー路線やトレンディードラマを強化し、93年まで12年連続で在京民放キー局の視聴率トップとなった。その立役者が、編成局長や社長だった日枝氏だ。「80年代の躍進を作った方、その貢献に対しては感謝したい」と、同社の清水賢治社長は27日の取締役会後の取材で語った。

政財界とのパイプも太く、会長就任後の2005年に、親会社だったニッポン放送の株式を巡ってライブドアと激しい争奪戦が起きた際は陣頭指揮を執り、和解に導いた。

ただその裏で、人事面ではワンマン的な判断もあったとされ、「社内で有望株と目された人物を次々と排除してきた」と話す社員もいる。17年からフジ・メディア・ホールディングス(HD)とフジテレビの取締役相談役となったが、その後も幹部人事は日枝氏が構想を描いてきたとする声もある。排除してきた」と話す社員もいる。17年からフジ・メディア・ホールディングス(HD)とフジテレビの取締役相談役となったが、その後も幹部人事は日枝氏が構想を描いてきたとする声もある。

元幹部は「役員たちには『どうせ日枝さんが決めるんでしょ』との空気が広がっていた」と長期政権ゆえの弊害を指摘する。中居正広さんの女性トラブルを巡る一連の問題で、テレビカメラを入れずに批判を浴びた1月17日の社長記者会見も、「幹部たちの当事者意識のなさ、危機感の薄さが(あのような会見となって)表れたのではないか」と冷ややかな見方だ。中居正広さんの女性トラブルを巡る一連の問題で、テレビカメラを入れずに批判を浴びた1月17日の社長記者会見も、「幹部たちの当事者意識のなさ、危機感の薄さが(あのような会見となって)表れたのではないか」と冷ややかな見方だ。

経営陣の刷新案について、日枝氏は同意していたという。「(日枝氏からの言葉は)特にない。今のフジの状況は心配されていた」とHDの金光修社長は説明した。今後、両社に対する日枝氏の影響は、「まったくないと判断いただけると思う」と清水社長は強調した。刷新案について、日枝氏は同意していたという。「(日枝氏からの言葉は)特にない。今のフジの状況は心配されていた」とHDの金光修社長は説明した。今後、両社に対する日枝氏の影響は、「まったくないと判断いただけると思う」と清水社長は強調した。

立教大の砂川浩慶教授(メディア論)は「40年以上、人事権と予算配分権を持った人が退いただけで、今回の騒動が収まるのか。組織が下り坂に入ったときの権力委譲は難しい。推移を見守る必要がある」と語った。

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